障子絵馬 ヘビ

障子絵馬というのは、はがきよりふた回り大きいくらいの木わくに障子(しょうじ)をはったもの。
障子にはヘビやタカなどが筆で描かれていたり、版画で刷られていたりする。

何のために作られたかと言えば、おカイコさんを食べてしまうネズミを追っ払うお守りである。

この地方では、昭和の終わりごろまで養蚕(ようさん)が盛んだった。
この絵馬には「よいまゆが取れるように」という農家の願いがこめられている。


そのころ、毎年2月8日は「まゆだんごの日」と言われていた。
その日はお米の粉で、まゆの形をかたどったおだんごを作り、鹿島大神宮の境内にある蚕養神社(こがいじんじゃ)のご神前にお供えして、お参りする。

その時に、神社に置いてある障子絵馬を受けて帰り、おカイコさんを飼っている部屋に飾って、ネズミが来ないようお願いする。
そして、その年のまゆが無事にとれると、また蚕養神社にお参りして、障子絵馬をお返ししたそうな。


「まゆ団子に砂糖じょうゆをからめて食べると、とってもおいしかった!」

とは、そのころ子どもだった、宮の典子おばあちゃんの思い出。
養蚕とともに今では絶えてしまった、古い信仰の形のお話。

○ 鹿島大神宮 渡辺雅子

障子絵馬 ヘビ
障子絵馬 タカ