宮(みや)というのは、丹伊田にある鹿島大神宮の宮司(ぐうじ)さんの家のこと。

江戸時代、三春のお殿さまが鹿島大神宮に参拝なさる時、いつも宮で休憩(きゅうけい)された。
だから宮には「お殿様さまのお部屋」があった。
玄関(げんかん)も、家の人が出入りする玄関のほかに、「四畳の間」(よじょうのま)というお殿さま専用の玄関があったそうだ。

庭も、柴折り戸(しおりど)という竹の柵(さく)で区切ってあって、子供はそこへ入ってはいけなかった。
鹿島大神宮のお祭にお殿さまがいらっしゃると、二の膳(ぜん)付きのお料理をださなくてはならなくて大変だったんだって。

これは、このお話をしてくれた宮の典子(のりこ)おばあちゃんのお母さんが、そのまたお母さんから聞いたこと。

お殿様のお部屋は一番右側にあった

 その後、昭和の時代になって、使われなくなったお殿さまのお部屋は宮司さんの仕事部屋になったけれど、その頃でも女の人はその部屋に入ってはいけないと言われていた。
お殿さまのお部屋だったところの前の庭には、今でも石灯籠(いしどうろう)の一部だったらしい石が残っている。
ちょうど秋祭りの頃に大きなキンモクセイが満開になるから、お殿さまのお部屋にも花の香りがいっぱいにただよっていたことだろう。

○お話をしてくれた人  渡辺典子さん(丹伊田)
 平成30年4月25日

昔の庭の跡