むかし、木村の舘(やかた)につるこ姫というお姫様がいた。
あるとき、その家ではお家騒動がおこり、つるこ姫が邪魔になった。
そこで逆賊達は、つるこ姫を吊鐘に入れて阿武隈川に沈めてしまった。
この沈めた場所がつるこ渕(ぶち)といわれている。
その後、乳母が悲しんでつるこ姫のそばに身を投げた。
ここを七日渕という。
そのとき大きな鯉が天に昇るのが見えた。
これはきっと何かの祟りであると村人は思い、このようなことが続かないようにつるこ姫の霊をなぐさめよう、と川をせきとめた。
そうしたら川の底から吊鐘(つりがね)がでてきた。
この吊鐘はそののち広度寺におさめられた。
引用『郡山市史 民俗資料カード』つるこ渕⑴(鬼生田)