ー県指定重要有形文化財ー(昭和28年10月1日指定)

説明

永徳2年(1382)に作られた、福島県内で2番目に古い銅製の鐘。
西田町鬼生田には、この鐘にまつわる悲しい民話が今も伝わっている。

所在・管理者

郡山市西田町鬼生田字前田119
廣度寺(こうどじ)  電話 024-972-2714

もっとくわしく

廣度寺の鐘は、口径54.7㎝、高さ71㎝の小型の銅製の梵鐘で、上部の笠形と呼ばれる部分の張りを抑えて優美に作られている。
鐘の中ほどには次のような文章が彫られている。


大日本国陸奥州田村県
広渡禅寺住持比丘応衡
本寺檀那平遠長
結縁之衆二十一人
大工秦景重
永徳二年庚戌十一月八日奉行比丘証本



この銘によって、南北朝時代末期の永徳2=弘和2年(1382)に作られたものであることがわかる。
福島県内では、喜多方市の新宮熊野神社の貞和5=正平4年(1349)の銅鐘に次ぐ古いものである。

檀那(だんな)すなわち施主の平遠長(たいらのとおなが)は、応永11年(1404)の一揆契状に登場する「鬼生田 山城守秀遠」に連なる人物かと思われる。
この鐘を作った鋳造師(ちゅうぞうし)の秦景重(はたのかげしげの作品は、宇都宮の一向寺や千葉県の香取神宮寺などにも残されている。

参考文献

『郡山市の文化財』   
監修 郡山市文化財保護審議会
発行 平成13年3月
編集  郡山市教育委員会文化課