西田町の美術館へようこそ

大島和子さん(丹伊田上石堂)
小さな森の和(やわらぎ)美術館 館長


西田町に美術館があるって知っていましたか?

小さなフクロウに導かれて、緑に囲まれた小道を上っていくと、古い民家を改造した小さな美術館が見えてきます。

どうしてこんなところに美術館があるんでしょう?
どんな作品が見られるのでしょうか?

館長の大島和子さんにお話をうかがいまし

た。

「目標を持つって大事」

―どうしてここに美術館を作ろうと思ったんですか?

ここは母が生まれ育った家でね、祖父母が亡くなってから物置になっていたの。で、どんどん朽ちていくのはもったいないなあとずっと思っていて…ちょうど私が専門学校を卒業して就職した頃、友達と集まって「癒し(いやし)の場所を作ろう」ってことになって、ここをいじり始めたの。

最初は目的もなくただ集まっていたんだけど、気がついたら私も大好きな絵がたくさん集まっていたから、それを見てもらいながら集まれる美術館にしようってことになったの。
自然の中で絵を見たり、飲んだり、食べたりして、心をいやしてもらうのが目的。

その頃、桑野にあるギャラリーでオーナーと話しているうちに、
「日にち決めないと、いつまでたっても美術館できないよ」
っていう話になって、それじゃ5年後の2014年6月1日に開館しようって決めたの。それでその日を目指して毎年展示会をやったりしながら進めて、それで2014年6月1日に開館できました。

―すばらしいですね!

目標をもって進むって大事だよね。

―大工さんに改装してもらったんですか?

奥の展示場と和室の壁はプロに頼んだけど、後はほとんど自分でやったの。お金もないし。車椅子の人が車で上に上れるように、つつじをひっこ抜いて道路を広くしたり、竹を割って壁に使ったり。面白かった!竹を割る時って、パーンッて、すごく気持ちいい音がするんだよね。勤めていたから土日しか作業できなかったけどね。

「いいなって思うと、いてもたってもいられなくなっちゃうんだよね」

―いちばんお気に入りの作品はどれですか?
うーん、どれもいいからねえ。
美術館を作るきっかけになった作品は長田良夫(おさだよしお)さんの「メキシコシティ―」

入り口にある『小さな森の和美術館』の石柱は彫刻家の佐藤賢太郎さんが作ってくれたもの。
『ここにあなたの座る場所がある』
『動いてこそ感動がやってくる』
と、賢太郎さんの言葉がほかの2面に彫られています。

嶋尾和夫さんの『鳥』は、鶴岡市にある農家民宿「知憩軒」(ちけいけん)に泊まりに行ったときに置いてあったのを見て一目ぼれしたの。。
「そんなに気に入ったんなら、部屋に持ってって抱いて寝ていいから」
って言われて部屋に持って行って、結局
「お代は後でいいからね」
て言われて家まで持って帰ってきた。
いいなって思うと、いてもたってもいられなくなっちゃうんだよね。
そんなものが集まった感じかな、ここは。

嶋尾和夫 『鳥』

―インタビューの前に美術館を一回りして、私(インタビュアー)がいちばん気に入ったのがこれ。『独唱』 嶋尾和夫さんの作品だそうです。

嶋尾和夫 『独唱』

それと、ちょっと不思議な形で気になったのがこれ。
『つながる』

『つながる』

わいわいとこんな会話が盛り上がりました。
「これ、ちょっと持ってみよう」
「どうぞどうぞ」
「あ、なんか…どうしよう。癒されるっていうか、体の芯が解放されるような感じがあるのはなぜだろう」
「かたいのに、やわらかい」
「なに?この気持ちよさ」
「なんか…ふ~んって、リラックスするよ、これ」
「なんとも言えない感じ」
「肩こり治るよ、それ。それでたたかなくても」
「なんか、さわっていると伸びそう…」
「おもしろ~」

―みなさんは、どんな感想を持つでしょう。いちど触ってみてください。

「できることをどんどん広げていく」

―今考えていらっしゃることはどんなことですか?

今は仕事もあるので日曜日だけ開館だけれど、2、3年のうちには週4日ぐらいは開けたいと思ってる。
入館料も今はとっていないんだけど、古民家だから修繕費もかかるし維持費もかかる。長く続けていくためにはいろいろ考えていかないと。

今、もっと美術館が活性化するように勉強中。西田町の物産を紹介したりここで販売したりして、西田町にかかわりながら活性化させていきたい。
ここに実はピザ釜があるの。開館のときにピザを焼いてね。そのあと崩れちゃったんだけど、また直してピザも焼きたいね。
それとね、ツリーハウスもあそこに作りたいの。それとね、露天風呂!

ー生き生きと話してくださる館長さんの夢を聞きながら、これまでもコツコツと時間をかけて夢をかなえてきたように、きっとこれからも自分の力で夢を実現させていくに違いない、と感じました。

西田町にある素敵な美術館、みなさんもぜひ行ってみてください!
きっとお気に入りが見つかるはず。

小さな森の和美術館
〒963-0901 福島県郡山市西田町丹伊田字上石堂494
TEL.024-971-3513
開館日 日曜9:00〜17:00
※開館日については電話で確認してください。

関連ウェブサイト

小さな森の和美術館ウェブサイト


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