西田町丹伊田(にいた)に舘(たて)と呼ばれる場所があります。

舘とは、地形などを利用して、掘りを掘ったり土塁(どるい)という土かべをめぐらして、敵を防ぐ工夫をした「とりで」のことです。
舘にはその辺りを治める武士のかしら、「おやかた様」が住んでいました。

さて、舘にはいまでも「おやかた様」の子孫が住んでいます。
今回は、昭和9年に舘で生まれた渡辺典子さんにお話を聞きました。

黒鹿毛神社(くろかげじんじゃ)のこと

舘のある山のてっぺんには黒鹿毛神社という小さなお社があるんだよ。
なぜ黒鹿毛神社という名前かというと、神社のある山のことを昔から黒鹿毛山(くろかげやま)と呼んでいたからじゃないかな。

舘は郷社(ごうしゃ、鹿島大神宮のこと)よりも高いところにあるから、神さまを見下ろしてはならぬと言うことで、舘より高いところに鹿島大神宮の御分霊(ごぶんれい)をまつったのだそうだ。

今のお社は、昭和49年に一番上の兄の一成(かずしげ)さんが建てたもので、鹿島大神宮の宮司(ぐうじ)が木のお札(おふだ)を納めた。

祭礼日は二の午(にのうし)の日。
以前は鹿島大神宮の宮司が来てお祭りをしていたけれど、平成になってからは舘の主(あるじ)が御幣束(おへいそく)を毎年新しく取り替えてお祭りをしている。

(平成29年7月14日 西田町丹伊田 渡辺典子)

I ❤ NISHITA―豆知識―

★御分霊(ごぶんれい)
ある神社の神さまの力を分けてもらって、他の神社にお祭りすることです。

★宮司(ぐうじ)
その神社の代表である神主のこと。神社のお祭りの時にお祈りをしたり、七五三や成人祭などのご祈祷(ごきとう)をしたりします。

★二の午(にのうし)
昔の日にちの数え方。2月に入ってから2回目の午(うし)の日のこと。

★御幣束(おへいそく)
和紙を折って作られた神さまへのお供え物。お祭りのたびに新しく取り替えられます。

御幣束(おへいそく)