丹伊田の舘(たて)と呼ばれる地域のうらには、「馬石」「鞍石」と呼ばれる石があり、子供たちがよくまたがって遊んでいた。
また、ちょっと離れた畑のよせには「よばり石」と呼ばれる石があった。


昔安達の方から軍勢が攻めてきたときに、そのよばり石が
「ウワー、ワー」
と、いっぱい人がいるような声で叫んだという。

また、その時に舘の第一家老だった泉田さんの先祖さまが屋敷の女の人の腰巻きを集めて、幟旗(にしきばた)みたいに木にしばりつけたので、その声を聞き、たくさんの旗がはためくのを見た安達の軍は、
「丹伊田にはたくさん人がいるようだ」
と攻めるのをやめたそうだ。

〇お話をしてくれた人 渡辺典子さん(丹伊田) 平成30年5月1日

渡辺典子さん
「馬石」は、まだありました!

お話をしてくださった渡辺典子さんが、よばり石と馬石を案内してくださいました。

典子さんが子どもの頃またがって遊んだ馬石は、まだありました。

大きな声を出したというよばり石は、切り立った崖みたいな岩で、今は木々におおわれて見えなくなっています。